[Universal Audioプラグイン]Friedman BE-100

ギターアンプとして評価の高いFriedmanのサウンドが、デジタル環境にて再現されています。Universal Audio(ユニバーサルオーディオ 以下UA)からBE-100のアンプサウンドをエミュレートしたプラグイン『Friedman BE-100』がUAオーディオインターフェイス用にリリースされています。そのサウンドはいかに。
開発元:ハイエンドオーディオソフトウェアデベロッパー、Brainworx社(ドイツ)

【コンテンツ】

Friedman Amplifiersについて

David Friedman氏(デビッド・フリードマン)は、エディ・ヴァン・ヘイレン、ジェリー・カントレル、ガンズ・アンド・ローゼスなど著名ミュージシャンの良き師として20年にわたりカスタムアンプの製作に携わってきたアンプビルダーです。『Friedman Amplifiers』は、そのFriedman氏によるギターアンプブランドです。

クラシックなブリティッシュ・トーンのテイストがお好みなら、そのサウンドの代表格はオールドマーシャルとなるわけですが、マーシャルに限らずオールドアンプを維持して使用するには著名ギタリストのように専門のカスタムビルダーにメンテナンスを依頼しオールド品を大切にリペアしていく必要があり、かなりのコストがかかります。

1960年代以降、マーシャルアンプを改造するというスタイルはギタリストの高い音楽志向の表れだったようです。筆者の好みに偏ってしまいますが、改造マーシャルアンプ愛好者と言えばリッチー・ブラックモアという印象があります。1970年代に入りギタリスト達の改造への情熱はさらなる高みを目指していきます。

・David Friedman氏とつながりの深いミュージシャン、エディ・ヴァン・ヘイレンについて
’70年代~80年代に全世界で爆発的セールスを達成したエディ・ヴァン・ヘイレンの演奏技術とギターサウンドは革命だったと言えます。エディの改造Marshallによる『ブラウン・サウンド』がギター小僧たちにとっては憧れの存在になったわけですが、それを技術面でサポートしたのが、David Friedman氏でした。

Marshall Plexi実機のサウンドとは?

Mod Plexi Marshallを目指して作られたというDavid Friedman氏のアンプサウンドは、1960年代にヒットしたMarshall Plexiに由来があるようです。『Marshall Plexi』にはどんな特徴があるのでしょうか。

‘Plexi’は、ピート・タウンゼント(The Who)がよりラウドなギターアンプを求めたところから始まりました。最初のモデルは2つの50ワットトランスを持つプロトタイプで、その後100ワットに置き換えられたモデルが1965年に開発されました。1967年に真空管KT66はEL34管にリプレースされ、現在ではそのサウンドがマーシャルサウンドの代名詞となっています。Plexiという名前は、1965年から1969年の間にマーシャルアンプで一般的に使用されていた光沢のあるプレキシグラスパネルに由来しており、100ワットスーパーリード(モデル番号1959)が最も関わりがあります。1960年代はPAシステムがまだ多く出回っていない時代にあり、大規模な会場で演奏する場合、100ワットのアンプが必要とされていました。1968年のモデルはジミ・ヘンドリックス、クリーム、ザ・フーにより大ヒット。
『Marshall.com『THE HISTORY OF: 1959SLP ‘PLEXI’THE TALE OF THE MOST ICONIC TONE IN ROCK HISTORY』(英語版)から引用

単純に「プレキシの音」と定義してしまうのには疑問もあるようです。
デジマートマガジン:プレキシ・マーシャルを紐解く~Marshall 1959 SUPER LEAD “BLACK FLAG” 編)

Friedman BE-100 実機のサウンド

「Friedman BE-100」(アンプ実機)はハンドワイヤリングで製作され、EL34パワー管を搭載した100wの3チャンネルカスタムハイゲインアンプです。(生産完了品) フリードマン独自の優れたマスターボリュームコントロールにより、どんな音量でも豊かで繊細な和音とタイトなローエンドのサウンドを生み出します。 BE-100は、3つのモード(CLEAN、BE、HBE)で構成され、アンプのフロントパネル、または付属のフットスイッチで切り替えることができます。 (参考サイト:Musette Japan

以下のYoutube動画ではJeremy Krull氏によるBE-100の演奏が聴けます。冒頭の軽いフィードバックが心地よく響き、流麗なレガートノートが一音一音粒立ち良く聞こえてきます。

Universal Audio Plug-in『Friedman BE-100』の機能

Plug-in『Friedman BE-100』は、1959 Marshall Plexiをモディファイしたトーンが特徴。(UADプロモーションページに記載)プラグインマニュアルには、BE-100についての説明書きがあります。(オリジナルは英語版)Plug-in 「Friedman BE-100」のマニュアルはこちら

BE100は、100ワットのEL34を搭載した3チャンネルギターアンプで、BEチャンネルのゲインとマスターコントロールを調整するだけで、ブルースからクラシックロック、ヘビーロックからメタルまで、さまざまなスタイルの音楽を制作できます。

クリーン、BE、HBE の3チャンネルがありますが、BEからHBEに切り替えるとBEチャネルがブーストされ、ゲインとサチュレーションがさらに向上します。もちろん、BE100の2番目のチャネルにある豊富なクリーンを忘れることはできません。

多くの人は、EL-34管を搭載した100ワットアンプが寝室の音量レベルでも素晴らしい音を出すことができるとは信じていません。デイブは、あらゆるレベルで素晴らしいサウンドが得られるようにマスターボリュームを完全に設計しました。

UAは、「掛け録り」と「リアルタイムプラグイン」の2通りの出力方法を勧めています。生音のみ録音して後からプラグインを通して試すのも良し、「リアルタイムプラグイン」としてリアルタイム処理したアンプサウンドにしても良し、という表記がUAサイトに記載があります。

【外観】
プラグインのルックスは、スタンバイスイッチ、ボイッシングスイッチ以外は実機とほぼ同じですが、実機と異なる点は、FX Rackが搭載されていることです。「FX Rack」をクリックするとイフェクト関連の設定画面が表示されます。機能としては、ノイズゲート、TIGHT AND SMOOTH設定、キャビネットとマイキングの組み合わせ、ディレイ、バイパスプリアンプ、バイパスパワーアンプなど。

【プリセット】
UAオフィシャルサイト内「BE-100」にアップされているSoundCloudのオーディオ名称と筆者の環境で用意されているプラグインの名称が異なる理由は不明です。プリセットは下図のように「HUMBUCKER ROCK A」などレスポールなどのハムバッカーサウンドがまずプリセットトップに用意されています。

【コントロールパネル】
・Voicing Switches
ファットスイッチ:BE100トーンを太くします。シングルコイルピックアップに最適です。

・C45スイッチ:ディストーションチャンネル用のカスタムボイシングスイッチ。よりより豊かなミッドサウンドを保証します。

・Satスイッチ:BE100ディストーショントーンにゲイン、コンプレッション、サチュレーションを追加します。トーンにコンプレッションが追加されているため、ボリュームドロップが発生する可能性がありますが、
これはマスターボリュームコントロールで補正できます。

・ボイススイッチ:これにより、BE / HBEチャネルの微妙で効果的な音色の変化が可能です。左の位置はミドルレンジのトーンを伴い少し暗めに、右の位置は低音が大きくなり少しサウンドが明るくなります。

・ブライトスイッチ:3ポジションのスイッチでクリーンチャンネルのみ対応したブライト調節が可能

・チャンネルセレクタースイッチ
クリーン、BE、HBE Channels3つのチャンネルをこのスイッチで選択します。HBEに切り替えると、BEチャネルがブーストされます。アンプのフロント部分はMac上で美しいのですが、スイッチ部分の操作はちょっとマウスではやりにくいです。

【FX Rack】

・Noise Gate
・Amp Filters:Tight Filter
個別の3つのステップ:「前」、「後」、「オフ」。タイトフィルターでカットできます。DIギター信号(Pre)または処理されたアンプのいずれかの低周波数出力(Post)。
・Power Soak
出力音量を制御します。ハードウェアの世界では、ボリュームを減らすためにパワーソークが使用されています。ほとんどの場合、約-10dBの設定をお勧めします。

筆者コメント

マニュアルに記載の通り「タイトなボトムエンドと倍音豊かなコードとシングルトーン」を実感できます。ハイゲインではありながら歪みの粒立ちがよく、音像がクリアーでファットなサウンドという印象です。


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